キッチンカー開業資金はいくら?内訳400万円を実例で公開
キッチンカーの開業資金はいくら?相場は250〜500万円
キッチンカー(移動販売車)の開業資金は、中古の軽トラックを自分で架装する場合で250万円前後、製作会社に発注すると350〜500万円が相場です。新車から専用車両を作ると600万円を超えることもあります。日本政策金融公庫の新規開業向け調査でも、飲食業の開業費用は平均1,000万円規模ですが、店舗を構えないキッチンカーはその半分以下で始められるのが特徴です。下のエミリーさんの実例では、中古軽トラックを使って総額約400万円に収めています。
開業資金は大きく「設備資金(車両・厨房)」と「運転資金(仕入れ・出店料・当面の生活費)」の2つに分かれます。多くの開業希望者は車両の値段だけを見て予算を組みますが、実際には食品衛生・営業許可の取得費用、初期仕入れ、保険、そして売上が安定するまでの予備費まで含めて考える必要があります。エミリーさんのケースでは、車両と厨房で約220万円、それ以外の運転資金・許可・保険・予備費で約180万円という配分でした。
実例:クレープキッチンカー エミリーさんの開業資金 約400万円
ここからは、実際にクレープのキッチンカーで開業準備を進めているエミリーさん(仮名・30代)の資金内訳を紹介します。中古の軽トラックを購入し、製作会社に荷台の架装だけを依頼する方式で、総額は約400万円。新車のフルオーダーより200万円ほど安く抑えられています。クレープという珍しいメニューで差別化を狙うため、調理に必要なコンロやシンクは余裕を持たせ、初期仕入れにはクレープの材料の輸入分も含めています。
| 項目 | 金額 | 補足 |
|---|---|---|
| 中古軽トラ+荷台架装 | 1,800,000 | 中古軽トラ(約60万円)+シンク・給排水タンク・コンロ・換気の架装を製作会社に発注 |
| 厨房設備・調理器具 | 400,000 | 冷蔵庫・冷凍庫・寸胴・中華鍋・発電機・クーラーボックス等 |
| 食品衛生・営業許可関連 | 150,000 | 保健所の営業許可申請手数料、食品衛生責任者講習、水道・電気工事の調整費 |
| 内外装・看板・備品 | 250,000 | メニュー看板、テント、のぼり、レジ・キャッシュレス端末、容器・包材の初期分 |
| 初期仕入れ(食材) | 300,000 | クレープの材料・調味料の輸入分を含む初回仕入れ+試作分 |
| 保険 | 100,000 | PL保険(生産物賠償責任保険)・自動車保険の初年度分 |
| 運転資金・予備費 | 1,000,000 | 売上が安定する3〜6か月分の生活費と出店料、車両故障に備える予備費 |
車両の値段だけ見て350万円で足りると思っていました。でも保険や予備費を入れたら400万円。むしろ予備費を削らなかったのが正解だったと思います。最初の2か月は本当に売れなかったので。
— エミリーさん 密着取材より
費目の中身:車両・厨房が総額の半分以上を占める
キッチンカーの開業資金で最も大きいのは車両と厨房設備で、エミリーさんのケースでは合計220万円と総額の約55%を占めました。軽トラックを中古で買えば本体は60万円ほどですが、荷台にシンク・給排水タンク・コンロ・換気を組み込む架装で120万円前後かかります。営業許可を取るには2槽以上のシンクと一定容量の給水タンクが必須で、ここを省くと許可が下りません。製作会社に頼むと割高ですが、配管や換気の不備は許可が下りない原因になるため、初めての開業ではプロに任せる人が多数です。
食品衛生・営業許可:費用は約15万円、講習は1日で取れる
キッチンカーで営業するには、保健所が出す「飲食店営業許可(自動車)」と、店舗ごとに1名置く「食品衛生責任者」が必要です。食品衛生責任者は1日(約6時間)の講習で取得でき、受講料は1万円前後。営業許可の申請手数料は自治体により異なりますが、おおむね1.6万〜2万円です。注意点は、許可が車両の構造と紐づくこと。シンクの数や給水タンクの容量(20L・40L・80Lの区分が一般的で、扱えるメニューの数で必要容量が変わる)が基準を満たしていないと、車両を作り直すことになります。エミリーさんは申請前に保健所へ図面を持ち込んで事前相談し、手戻りを防ぎました。
見落としやすい3つの費用:保険・出店料・運転資金
キッチンカーの開業資金で見落とされやすいのが、保険・出店料・運転資金の3つです。第一にPL保険(生産物賠償責任保険)は、提供した食品で食中毒などが起きたときに備えるもので、年1万〜数万円。第二に出店料は、商業施設やオフィス街の平日ランチ枠で1日3,000〜5,000円、または売上の15〜20%という歩合が一般的です。mellow(メロウ)やSHOP STOPなどの出店仲介プラットフォームを使うと場所探しは楽になりますが、手数料がかかります。第三に運転資金で、売上が安定するまで3〜6か月はかかるため、エミリーさんは100万円を予備費として確保しました。キッチンカーは廃業率が高いと言われますが、その多くは運転資金の不足が原因です。
開業資金を抑える方法と、補助金・融資の使い方
キッチンカーの開業資金を抑えるなら、車両を中古で買う、架装の一部を自分でやる、厨房機器を中古やリースで揃える、の3点が効きます。これだけで100万円前後の差が出ます。一方で、無理に削ると営業許可が下りなかったり、すぐ壊れて修理費がかさんだりするため、車両と厨房は削りすぎないのが鉄則です。資金が足りない場合、日本政策金融公庫の新規開業資金は無担保・無保証人の枠があり、開業時の代表的な選択肢です。自治体によってはキッチンカー開業や創業を対象にした補助金(補助率2分の1程度)もあるため、開業予定地の商工会議所や自治体の創業支援窓口で確認するのが近道です。エミリーさんは自己資金250万円に公庫の融資150万円を組み合わせて、総額400万円を用意しました。
資金400万円・メニュー開発・営業許可・原価・初売上まで、開業0→1の全記録を密着で公開